陰陽師とデータサイエンティストの類似性

「データサイエンティストって何している人?」と聞かれることも多く、「現代の陰陽師」と答えると神秘めいているので、2つの対比で読み解いていこうと思います。

 

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陰陽師は、今から約1500年ほど前の飛鳥時代の頃からはじまった朝廷の官職です。平安時代安倍晴明などで有名な陰陽道の儀式が注目されがちですが、本来やっていたことは方技(公務員の中の技官職)で、儀式を取り仕切るように変化したのは、成果を挙げていったためと考えられます。特に、当初の方技は、現代の理系の仕事に似ており、特にデータサイエンスと似ているところを紹介します。


方技の道具として知られるのが、占筮(せんぜい)で用いる筮竹や計算で用いる算木です。占筮は筮竹を何本かづつ取った余りの本数で陰陽を占うため、現代の確率論や剰余演算(Modulo)と捉えることができます。算木は赤と黒の棒を用いた計算方法なので、現代のアルゴリズムやコンピュータと言えます。

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中国から輸入された方技の道具を使えても、偉い人に結果の解釈を上手く伝えられなくては政には使えません。「理(ことわり)」を上手く説明できる人が重用されます。これは、データサイエンティストが、データを使ったグラフや機械学習を使った後、「でっ何なの?」と言われないようにするために、結果を読み解くストーリテリングするのと同じです。


陰陽師は朝廷の中の8つの省の中で最も重要とされた中務省(なかつかさしょう)に属し、天皇の補佐や朝廷に関する職務全般に対する方技を用いたサポートをしていました。現代でもデータドリブン組織においては、社長直属部隊にてデータサイエンティストが組織の方向性に関わる助言をデータから導き出すような組織体系を持つ企業も多いです。


陰陽師は時代と共に、呪術・祭祀の色合いが濃いカリスマ的な精神的支配者へと変貌を遂げていきますが、やがて実践的な武家社会と共に凋落していきます。現代では、データサイエンティストもカリスマ性を増すために奇抜な恰好をしたり、きらびやかな営業資料と巧みな話術で提供する価値の暴騰を煽るパターンがありますが、情報の伝達スピードが速い現代では、しっかり地に足をつけた実践的な仕事が評価されると思います。

 

古幡征史