Ikigai(いきがい)について
4月は新入社員の季節なので、最近アメリカで注目されている日本語 "Ikigai"(いきがい)について書いてみます。注目されている背景を知るには、ステレオタイプな表現ですが、30代以下の典型的なアメリカ人の生活を見ると伝わりやすいです。世界一学費の高いアメリカの大学を自分で学生ローンを組んで、借金と共に卒業します。資本主義の中心地ですので、先に借金をして自分の市場価値をあげて、将来お釣りが来るはずでした。先輩世代は、それでうまくいっていた訳ですが、実態経済が良くない状況が長引き、仕事つまんないなって思ってしまっている人が意外と多かったりします。週末の休暇を待つためだけの働き方。それは日本でも同様かもしれません。
そんな中、英語には翻訳しづらい言葉「いきがい」が日本語にあり、その言葉の持つ意味がアメリカ人の心を揺さぶりました。つまらないはずの仕事を楽しみながら、心が豊かで「自分らしい」生活を送れる。そんな素敵な人生の過ごし方ができるなら、自分もそんな人生を送りたい。そのヒントになるのが「いきがい」という言葉です。いきがいは次の4つが合わさっている状態です。
- 好きなこと
- 必要とされていること
- 稼げること
- 得意なこと
就職したての人にとって、「好きなこと」をするつもりで働き始めても、気付いたら上手くいかないことや嫌なことなどが積み重なり、だんだん仕事が嫌いになってしまうことがあります。そうすると、自分にはもっと適した仕事があるんじゃないかなぁって、自分探しみたいなものをはじめたくなります。
そんな人にお薦めするのは、まず「得意なこと」を作ることです。他の誰にも負けない得意なことがあれば、その良さを気付いてくれる人とめぐり合うことで「専門職」となれます。専門職として認められれば、多く稼げ自信やプライドが付いてきます。誇れる自分は、その仕事がどんどん好きになり、「情熱」もついてきます。やがて、世の中で「必要とされること」って認められ、自分にとっての「いきがい」を感じるようになります。
また、「得意なこと」を杭に例えると、それは誰にも負けないくらい深い所まで根差していると、とても強固な「得意なこと」になると思います。さらに欲を言えば、もう1本深い杭をさすことができるならば、そこにはボーナス・ステージが待っています。2つの得意なことは、それぞれ線でしか表現できないのですが、線と線で張られる面が全て自分の個性に変身し、自分のオリジナリティある世界観を作ることができます。はじめは、なかなか2つの得意なことを作るのは難しいですが、会社の同僚と得意なことを出し合って、面白い世界観を表現した働き方をする人生はいかがでしょうか?
古幡征史